共振するハビトゥス

主観が9割

完成披露試写で映画「検察側の罪人」を見た感想

検察側の罪人、ありがたいことに完成披露試写会で拝見することができました。

原作既読でのぞみましたが、正直今まで見た映画の中で一番違和感があり、気持ち悪さの残る映画でした。普段ライトな映画しか見ていない私にとってはかなり衝撃でした。

原作を読んでいたせいか、原作にないシーンや映画として演出されたシーンの違和感が浮き出て見えました。明らかに意図的なメタファーや重々しいシーンのバックでかかるやたら明るいBGM、その他編集など含め違和感だらけで、感情移入しかけては阻害されるといった感覚でした。一度見ただけではとても理解が追いつきません。

ジャニーズのお二人が出演されていますが、そこに対する配慮などは全くありません。「この人ならこの役だろう」というようなステレオタイプもありません。それどころか、このような映画にジャニーズが出ているという違和感さえも作品に利用されてる気がしました。

キャストの方々の演技も、監督がおっしゃった通り「演技合戦」の様相でした。誰が何を繰り出すのか、演技中の緊張感がこちらにそのまま伝わってきました。特に二宮さんの演技は素晴らしかったです。声のトーンや会話中のリアクションなどどの動きも魅力的で、発する言葉の端々から色気が出ていました。そして取り調べのシーンは圧巻でした。誰もが見たいと願っている二宮さんのお芝居がありました。

 

正直、どの登場人物に感情移入すべきか、そしてメッセージ性をどこまで汲み取るべきか測りかねたまま映画を見ていました。様々な感情が頭をぐるぐるして、見終えた瞬間疲れが押し寄せてきました。スタオベしたくなるというより、エンドロール後もグッタリと座りこんで動けないような感覚です。

しかし、上映後友人と話してみると「楽しかった」「面白かった」という感想が返ってきました。この作品のもとはミステリーであり、エンタメとしての完成度も高く、単純にとても面白かったです。しかし私と友人では作品内で印象に残った部分が全く違うようでした。約2時間の上映時間の中でこれでもかと様々な要素が詰め込まれています。私は違和感の部分が頭に残りましたが、ミステリーの部分やクスッと笑えるようなシーンもあり、どの部分を取捨選択して見るかで全く感想が変わる作品だと思います。私も2回目、3回目と見たらどのような感想になるかわかりません。

 

いろいろと書きましたが、言えるのは「とにかく一度見てほしい」ということです。いわゆる「ジャニーズが出ている」「大きな映画会社が作った」「邦画の超大作」といったイメージの映画とは一線を画しています。万人に受け入れられる映画とは思えませんし、人によってはかなり体力を消耗する映画です。そんな映画をわざわざここまで大規模に制作し、作品があらゆる人から見られることに意味があるのだと思います。ぜひ一度見てほしいです。